DJ Kamiking blog "LIFE"

日々、思うこと。そして、伝えたいこと。自身のDJスタイル同様「ジャンルレス」に、様々なコトを発信したい。

先人たちの言葉は、何を「今」に語りかけているのか?

久々にアタマにきたので、
ここに書かせていただく。

 

先人の言葉を、すべて「老害」と括り、
その本質を聞こうとも知ろうともせずに、
「過去のことなんて、言われても知らんし。」
「今が楽しければ、それでいいじゃん。」
「過去を押し付けるのは、先人のエゴ。」
などと、自己弁護に走るだけの奴らに言いたい。

 

「過去を知る」ことは、先人に対するリスペクト。
いったい、それの何が悪いと言うのだ。

 

わからないのは、当たり前のことだ。
自分も含め、その時代を知らないのだから。

 

自分にも若き日があり、そのときは、
たしかにひたすら「楽しい」だけでやっていた。
それは、最初は誰しも同じだと思うし、
そんなときに、目上の人間たちから、
いろいろと説教じみたことを言われたら、
「めんどくさい」と思う気持ちはわかる。

 

ただ、ある程度の年数を重ねた人たちが、
いまだに「楽しければいい」などと言っている。

 

先人たちがつくりあげてきた、素晴らしい
クラブカルチャーを、ただの踏み台にして、
我が物顔でブースに立っている奴らに、
DJを、クラブカルチャーを語る資格などない。

 

先人たちは、決して「今」を否定しているのではない。
長い経験から、クラブカルチャーがどのように生まれ、
どのような変遷を経て、現在に至っているのか。
そのことを、ただ純粋に知ってほしいだけなのだ。

 

その言葉の、本当の意味を掴もうともせず、
先人のたちの言葉をシャットアウトして、
今が楽しければいいと、自分たちの主張だけはする。 

 

百歩譲って、お客さんは全然それでいい。
文字どおり「お客様は神様」であり、
何をどう楽しもうが自由なのだから、
今が楽しいのであれば、それが全てだ。

 

ただ、大なり小なり、クラブカルチャーに
関わっているという自覚のある人間ならば、
今、自分たちが立っている場所が、
先人たちの不断の努力によって創られた

神聖な場所だということを知ろうともせず、

自分たちの権利だけを主張するのは、

先人たちに対する何よりの冒涜であり、

それこそが、クラブシーンを崩壊に導く、

真の意味での「エゴ」なのだ。

 

今は今。昔は昔。

 

昔がすべて正しいわけではない。

今のほうが、昔より良くなったことはたくさんある。

 

先人たちは、今のEDMシーンを一切認めていない。

それも、大いなる勘違い。

(これは人によるが、少なくとも自分はそう思っている。)

 

僕自身、たしかにEDMは好きではないが、

それは、あくまで個人的な好みの話。

EDM中心の箱に、自分は行かないが、

それを楽しみに行っている人たちのことまで

悪いと思ったことは、ただの一度もないし、

福岡でいうbijouのような大箱が果たす役割は、

非常に大きいと、存在自体はとても歓迎している。

 

実際に、クラブシーンの過去・現在を誤解なく

伝えようと、様々な試行錯誤はされていると思うし、

実際に、それを支持しているお客さんで連日賑わっている。

結果が出ている以上、それはひとつのシーンとして成立している。

これこそが、紛れもない「今」のかたちであり、

それを、過去の人間が、どれだけ罵詈雑言の数々で否定しようが、

「今」を変えることはできないし、そのような権利もない。

 

そのことは、十分すぎるくらいに理解した上で、

ちょっとこう言いたいと思うことも飲み込んで、

先人たちは、「実はクラブってこんなとこだったんだよ。」と、

純粋に「今」の人々に語りかけたいだけなのだ。

 

「誰がクラブカルチャーを破壊したのか」という

タイトルそのものに、問題はあったのかもしれない。

それが、様々な拒否反応を生んでいるのも事実だろう。

 

しかし、その記事を含め、先人たちの放つ言葉を、

ただの「老害」扱いすることだけは、どうかしないでほしい。

理解できなくてもいい。むしろ、それが当たり前のことだから。

ほんの少しでもいい。耳を目を傾け、その意味を感じ取ってほしい。

 

僕自身、過去のことで知らないことは、まだたくさんある。

先人たちの書籍やインタビュー、そして実際のDJプレイから、

それを少しでも学び取ろうと、今でももがき続けている。

 

もちろん、今のシーンからも目を背けずに、

理解する努力も、自分なりにはしているつもり。

残念ながら、今も好きにはなれないけど、

そのシーンを盛り上げようと頑張っている人たちも、

根っこにある気持ちは、きっと同じではないかと思っている。

 

今の人々は、過去から学び

過去の人間も、今を正しく知る。

 

誰かが偉いわけでもなく、

何が正解だということもない。

 

お互いがお互いを知ることで、

きっと新しい何かが生まれる。

そう願って止みません。